ホンダ往年の名車、CR-Xが入庫しました!しかも名機B16Aを搭載したSiRモデルです!
お客様から症状説明を受けますと
「3000回転で頭打ちしてそれ以上回転が上がらない」とのこと
停車中に吹かしみましたが、フォーーン!!と良い音させて4000回転位までストレスなく上がっています
ほほーん?
こういう時の悪いところは大体決まっています
しかも平成元年式の30年以上経過個体とくればだいたい検討が付きます
燃料系か点火系のどちらかか両方かです!
要するにストレスがかかってない状態では問題ないけど、ギアを入れてエンジンに負荷がかかった状態が長時間続くと燃料がうまく供給できなくなってフェイルセーフに近い状態になっているか、回転数が上がると配電がうまくいかなくなってストール気味になっているわけです
ちなみにB16AはV-TEC搭載エンジンですがV-TECがかかるのは5000回転以上の高回転時なので今回は関係ありません
目星もついたので修理開始です!
お客様「あ、言い忘れてたけどタンク錆びてるから交換お願いしますねー」
その情報はもうちょっと早めに欲しかったかなーw
もともと燃料系統を疑っていたのもあったので新品タンクやポンプなどの交換部品の見積もりを取りつつタンクを降ろしてみるとご覧のあり様
お客様にも言われてたし予想してたので覚悟はしてましたから
「おっ思ったよりもサビが少ない!でもポンプはアウトー!フューエルセンダゲージは完全アウト!何ならタンクも要交換-!」
位な印象でしたね
そうこうしてると見積もりの結果が返ってきましたが…燃料フィルター以外まさかの全滅!
こうなったらオークションサイトで部品を集めるしかありません
お客様に確認をとりつつ部品を集めます!
部品が届くまでに点火系のチェックを行います
点火系で多いのがディストリビュータ周辺とプラグ、プラグコードあたりなんですが、一番の懸念はディストリビュータのキャップ(所謂ディスキャップ・デスキャップ)と言われる部品
なんと純正新品はもう絶版なんです!
同じB16エンジンが乗っている後継のCR-Xやシビックではエンジンの制御が8bitから16bitに変わっていて、おまけに気筒判別のために内蔵されているギアの端数が違っているため流用は不可のようです
デスキャップに亀裂が入っていたりゴムが劣化して湿気吸いを起こしているともうアウトなわけです
診断の結果問題なかったので一安心…燃料系に絞って修理していきます!
オークションサイトを巡ってなんとか部品を確保しましたー!
しかしまぁ部品の高いこと高いこと…
燃料タンク・給油パイプ・燃料ゲージ(中古)=約80000円(送料込)
ポンプステーASSY(中古)=約30000円(送料込)
燃料ポンプ(社外新品)=約15000円(送料込)
高いだけあってすごくきれいな部品が届いたので組付けていきます!
社外品のポンプを純正のポンプステーに組み込んでタンクを降ろして交換、という流れになります
「サイバー」CR-X(EF8)のポンプはタンクを降ろさないと交換はできませんからね!
でもフューエルセンダゲージ(燃料ゲージ)は後部座席を外せば交換できる不思議…
EF系のCR-Xの燃料タンクはAE86なんかと同じでバンド式
リフトアップして下から支えつつバンドを外せば簡単に交換できます
手こずるのはバンドを外してもタンクが脱落しないように一部引っ掛ける場所があるのですが、そこがなかなかハマらないのと給油パイプータンク間のゴムホースが結構固いところくらいですかねぇ
そんな感じでチャチャーっと交換していきます!
給油パイプは内装を外さないといけないのでちょっと緊張します…
旧い車の内装は長期間の紫外線や経年劣化で割れやすく、しかもホンダさんの内装に使われる金属クリップはめっちゃ固いので丁寧に外さないと破損してしまうことがまぁよくありました(特にライフ!)
無事外せましたのでパイプを交換してタンクも交換しちゃいます!
タンク・ポンプの交換が終わればエンジンルーム内の燃料フィルターも交換しておきましょう
サビを吸って中が詰まっているはずですからね
タンクやポンプなどの交換が終われば新しい燃料を入れて試運転です
お客様が仰るには3000回転から上が上がらない、とのことですので3000回転以上まで回ることを確認し…たいんですけど、この車で3000回転とか2速でも60㎞/h超えるんですが…
なんとか3000回転以上までストレスなく回ることを確認して納車準備だー!
と思ったら燃料計が動いてない?
お客様に確認とったら「元々は動いてたんだけど、ある時を境に動かなくなってたのでそれも修理お願いします」とのこと
ぐぬぬぬ…!
燃料計の配線は後部座席の下のフューエルセンダゲージの所でまずは判断していきます
元々のゲージは3本の配線で電源・アース・エンプティランプ用の配線でしたが、今回見つけてきたタンクと燃料ポンプステーに付随してきた配線は2本の配線で電源とアースのみとなっています
配線図を見てみるとカプラで数か所接続はされてはいるものの基本的にはメーターとゲージ間にリレー等もないのでカプラの脱着や電源をアースに落としてみる、電源がきちんと来ているかなどで診断していきます
結論としては電源も配線も問題はありませんでしたので、燃料計本体の故障ということで交換することにしました
もちろん新品はありませんので中古のメーターを探して交換することになります
動作確認済みのメーターを仕入れてきたのですが、30年物のプラスチックですので破損と隣り合わせの作業になります
ちょっとテンションをかけただけでパキッといくので大変心臓によろしくないんですよねぇ…
手順としては
・メーターを外した後、嵌合を外してクリアカバーを外します
・ひっくり返して箱状の部品(アンプ)のネジを外してズラした後にその下にあるネジを外します
・ひっくり返して燃料計を外して交換します
・取付は逆手順でつけていきます
無事交換も終わってフューエルセンダゲージのカプラを脱着するとちゃんと動いているのが確認できました!
後は清掃をして完成です!
お客様にきちんと修理は完了したこと、エンプティランプは点灯しないことをお伝えして納車となりました!
もう部品も見つからない車種ですのできちんとアフターケアしてあげてくださいね
ありがとうございました!