長年当店を利用してくださっているお客様からの修理依頼で、珍しい昭和63年式のHC32ローレルが入庫しました!
このローレルも当店がずっと車検整備を行ってきた車ですので勝手知ったるなんとやらです
さて今回の修理依頼は「坂道を登る時に加速しない」という症状の改善です
リフトアップして吸気系、点火系、エンジン圧縮、足回りなどなどチェックしていきましたが、結論から言うと燃料系の故障でした!
これくらいの年式の車は大抵の場合トランク内部に燃料ポンプが設置されています
今の車は後部座席下とかが多いんですけどね
でもってトランクのシートを外して配線カバー、ポンプカバーを開けると右側の写真のようにポンプとご対面できます
中はどうなっているのやら・・・はっきり言って嫌な予感しかしませんが取り外していきましょう!
といってもこのまま配管を引っこ抜くと燃料パイプ内の残圧やタンク内の負圧の関係で燃料がマーライオンよろしくドーバドバ出て来てしまいます
対処法は結構簡単で
燃料パイプ内の残圧=ポンプが動かないように(ポンプの配線or燃料ポンプのヒューズを抜く)してエンジン始動→勝手に止まるまで放置して、エンジン停止後数回クランキング
タンクの負圧除去=給油口を開けて中の蓋も外す(ガソリンを入れる時の状態にする)
です!
負圧と残圧を除去できたらポンプを取り外していきます!
いやはや、嫌な予感って当たるんですよねぇ…当たってほしくはないのに!
予想通りにタンク内、燃料ポンプがサビッサビのボロッボロでした…あまりの惨状に写真に指が映るレベル
現在の車は複雑な形状を作りやすくサビない樹脂製のタンクを使用していますのでこういったことは起きませんが、古い車の燃料タンクは金属製ですので錆びてしまうことがあります
原因は所謂「ガソリンの腐れ」
ガソリンの主成分は炭化水素(HC)ですが、長期間保存していると酸化されて水分(H2O)が発生します
水分がガソリン内に存在するようになるとタンクの錆が加速していく、という流れですね
今回の「坂道で加速しない」不調の原因はタンク内に錆びが発生すると錆の細かな粒がガソリン内を浮遊するようになり、それをポンプが吸い上げてしまい、燃料フィルターが詰まったりポンプが詰まったりした結果、十分なガソリンが供給されず加速しなくなった、というわけです!
HC32ローレルは結構なレア車でして、当然部品もレアです
一縷の望みをかけて新品の在庫確認をしてみた結果、ポンプ本体(ニスモ仕様)のみしか出てきませんでした
古い車はポンプがポンプステーにバンドで固定されているだけですのでポンプのみの交換が可能なのですが、ポンプステーの方がどっちかと言えば欲しい状況です
ポンプステーには燃料計も付いてますしね!
中古もHC32ではほぼ出てきません
いろいろと調べた結果、HC32ローレルはF31型のレパードとR31型スカイラインの2種が生産ラインが同じなので、タンクなどの部品が流用できるんです!
何とかR31スカイラインのタンクとHC32ローレル用のポンプを入手しました
部品が届くまでの間に燃料タンクを降ろしておきます
タンクの中にガソリンが残った状態でタンクを降ろそうとすると十中八九零しますし、自分にもかかります(経験談)
タンク内のガソリンは降ろす前に抜いておきましょう
使うのはホームセンターなどに売っている手動式のポンプ、灯油なんかに使うシュポシュポです
あれをホースで延長して給油口やポンプ取付口から差し込み、一斗缶などへ移しておきます
間違っても電動式は使っちゃだめですよ?ガソリンで使うと発火して爆発しますからね
ガソリンを移したら下にミッションジャッキを設置してゆっくりタンクを降ろしていきます
R31用のタンクが届きました!
内部の錆はなく、外に多少の錆が出ている程度だったので、外側の錆を落として塗装しておきます
塗装が乾燥したら外した時と同様にミッションジャッキで持ち上げて固定し、配管などをつないでおきます
この時に配管やホース内に詰まりなどがないか、給油口の蓋の負圧弁が正常かを確認しておきます
しておかないとタンク内で負圧が発生した際に外部から空気が入らず、負圧でタンクがベッコリ凹んでしまいます
中古のポンプが届きましたが、なぜか配線が切られています
なんでやねーん!
古いポンプを見ながら配線を仮組してタンクへ搭載します
気を付けるのはポンプステーに着いている燃料ゲージのフローターです
無理に入れるとフローター取付部の樹脂部が破損して使い物にならないので、古いタンクが付いていた通りにポンプを取り付けます
配管をつないで配線と取り付けたら、エンジンルームにある燃料フィルターも交換しておきます
中はサビだらけでしょうからね!
新しいガソリンをタンクに注いでいざエンジンスタート!
バッチリかかりましたがどうも燃料計の挙動がおかしい…
これ、もしかしなくても燃料ゲージ壊れてません?
はい、もう一回ポンプ外しまーすorz
ポンプ脱着前の儀式をしてからポンプを外し、古いポンプについていた燃料ゲージに取り換えてもう一回取り付けます
再スタート後は問題もなく、無事燃料計も元通りの挙動になりましたので配線をきちんと繋ぎなおして修理完了です!
なおホースバンドは全て幅広のバンド式に交換しています
バンド式の方が漏れが少なくしっかり止めれますからね!
今回の修理額は税込177000円でした!ありがとうございました!
今回のHC32ローレルもタンクの錆が原因で交換せざるを得なくなりました
古い車のタンクは稀少なもので、交換出来てもかなり高額になってしまうこともしばしばです
そこでタンクをサビさせない方法をお教えします!
上でも書きましたが、タンク内で錆が発生する原因はタンク内のガソリンが腐れる=酸化することでガソリン内に水分(H2O)が発生し、それが錆びを誘発していることです
つまりガソリンが酸化する前に使いきって新しいガソリンを給油するか、長期間保存する場合はガソリンを酸化させずにタンク内部を空気に触れさせないようにすればいいわけです
以上のことから普段から乗ってあげて頻繁に給油してあげるのが一番の解決策なわけですね!
長期保存する場合はタンクが直接空気に触れないようにガソリンを満タンにして、酸化防止作用のあるガソリン添加剤を入れてあげるのがベストでしょう
当店ではWAKO'S フューエルワンをおススメしております
あれも酸化防止作用がありますし、燃料系統の清掃効果も期待できますので大変おススメです!
給油時に添加してあげれば、ある程度の距離を走ることでタンク内できちんと混ざりますからね!
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